ギャンブル依存症の恐怖。王子製紙会長106億借金の真実

王子製紙前会長の106億円横領事件の概要

大王製紙創業家出身の経営者、井川意高は2010年4月から2011年9月までの総額で105億円を子会社から引き出し、約50億円近い未返済融資が残っていた。

これらの融資の多くは、各子会社での取締役会の決議や貸借契約書を作成されないまま実施されるなどずさんなものであったが、融資先である井川による使途も不明なままであった。2011年9月16日にこの問題が発覚し、代表取締役会長を辞任。

その後、大王製紙は社内に特別調査委員会を設置して調査。同年10月28日に調査報告書を発表し、前会長の巨額借り入れ問題について「前会長である井川意高と、実父で元社長の井川高雄の父子には絶対的に服従するという企業風土が根付き、問題発生の基盤となった」と指摘。これを受けて大王製紙は井川意高の顧問職を解任、前会長の実弟の井川高博取締役も担当職を解任し、創業家一族は経営の主要ポストから外れた。また、社長の佐光正義が3か月減俸など役員らの社内処分も決定した。

この過程で元会長の井川意高は、子会社からの借入金のほとんどをマカオやシンガポールなどのカジノで浪費していたことが報道された。2011年11月22日に井川が弁護士を通じてマスコミに発した文書で「個人的な金融取引で多大な損失を出した後、たまたま訪れたカジノで儲けたことで、深みにはまったもの」と動機を語った。

事件が公になった後、大王製紙は井川を刑事告発する準備をすすめ、翌10月には東京地方検察庁特別捜査部が特別背任容疑での捜査に着手することが報じられた。同年11月21日、大王製紙は井川が子会社7社から合計85億8,000万円を不正に借り入れたとして告発。

翌年11月22日、2011年7月から9月にかけて、取締役会の承認決議がないまま連結子会社4社から計32億円を指定の銀行口座に振り込ませて損害を与えた特別背任罪の容疑で東京地検特捜部は井川を逮捕。同年12月13日、2011年3月から9月に子会社3社に指示し、計23億3000万円を指定の銀行口座に振り込ませ、損害を与えた特別背任罪の容疑で井川を再逮捕。同年12月22日に追起訴

この事件で井川の借入総額が約165億円に達していることが判明し、刑事事件として起訴された金額は計約55億円となった。

2012年10月10日、東京地方裁判所は井川に対して懲役4年の判決を言い渡した。2013年2月28日、東京高等裁判所は控訴を棄却。同年6月26日、最高裁判所は被告の上告を棄却し、懲役4年の刑が確定し、喜連川社会復帰促進センターに収監された。