元KKC山本一郎会長に告発状 疑惑の10億円

元KKC山本一郎会長に告発状 出資者「賭博事業無資格で募った」 トラブル10億円か

競球ホールディングス

競球(けいきゅう)」という新たな賭博事業に投資すれば高配当が得られるなどとうたい、無資格で約1億1千万円の預託金を集めたとして、出資者が出資法違反(預かり金の禁止)罪で、コンサルティング会社「競球ホールディングス」(東京都台東区)の「山本意致朗(いちろう)」こと山本一郎会長(76)に対する告発状を警視庁に提出していたことが29日、分かった。山本会長は「経済革命倶楽部(KKC)」の巨額詐欺事件を主導したとして詐欺罪に問われ、平成16年に懲役8年の実刑判決が確定し、服役していた。

競球HDをめぐっては、配当の遅滞や出資金が返還されないなどのトラブルが続発。損害賠償訴訟も起きており、総額は計10億円に上る可能性があるという。

告発状を提出したのは埼玉県と千葉県に住む男性2人。

告発状によると、山本会長は平成26年11月から昨年5月までの間に「早く投資をすればもうかる」「年金のように安定的に配当金がもらえる」などと誘いかけ、2人は計48回にわたって計約1億1千万円を預けた。しかし、約束された配当額が支払われることはなく、2人はそれぞれ約2900万円と約2100万円の損害を被ったとしている。

山本会長は、26年ごろから競馬の馬や競輪の自転車の代わりに球を競わせる「競球」という新たな賭博事業の構想を多くの出資者にアピール。「80日で20万円が22万円になる」「10カ月で22万円が50万円になる」などと高利な配当金の支払いや「元本保証」などとうたい、出資金を募っていたという。

関係者によると、出資者の中には日本人のほか中国人も多く含まれているという。日本国籍を取得した中国出身の出資者は「山本会長は中国人従業員を雇うなどして在日中国人の出資者の信用を得ていた。同胞同士のネットワークを通じて噂が広がったことも被害拡大の一因になった」と説明する。

同社をめぐっては、出資者が損害賠償を求める訴えを起こし、中国人投資家が東京地裁前で抗議デモを行う事態も起きている。また、160人以上の出資者が捜査機関宛てに捜査開始を訴える「嘆願書」を作成した。

産経新聞の取材に山本会長は、「個人として約4千人の会員からのべ100億円近く集めた」と説明。「事業への出資を呼びかけたことはなく、会員から借り入れをしているだけ。事業は継続しており、借金を返済する意思もある。だます意図はない」と告発状の内容を否定している。

【用語解説】経済革命倶楽部(KKC)事件

山本一郎会長が平成7年に設立した団体KKCで、「買えば買うほどもうかる」「未常識経済理論」をうたい文句に年利換算で400~500%にも上る異常な高配当を約束して出資金を集めた。1年あまりで投資家1万2千人から出資金名目で現金約350億円を集めたが、そのほとんどを焦げ付かせたとされる。山本会長について1審東京地裁は「自ら勧誘活動を実践していただけでなく、人事、システムの策定、資金の管理や使途に至るまで全権を掌握していた」と認定した。

山本会長「うちは自転車操業。配当金の支払い続けている」

山本一郎会長は28日、産経新聞の取材に応じ、「事業は継続しているから事件にならない」「うちは自転車操業」などと説明した。おもな一問一答は次の通り。

--配当金の遅滞を訴えている人がいるが

「(昨年)1月に浅草の事務所に4人組の強盗が入り、事務所のデスクに置いていた2億5千万円が強奪された。それでおかしくなった。デスクには一時4億円並べていたが、今はせいぜい700万~800万円というところ」

--出資者とトラブルになっていると聞く

「そもそも事業への出資を呼びかけたことはなく、会員から借り入れをしているだけだ。借金は配当金として返済している。偽物の債権が出回っていて、それを持って『金を返せ』とやってくる連中もいる。トラブルになっているのは一部。多くの会員は僕の考えや事業を理解してくれている」

--そもそも「競球」とはどんな事業なのか

「60年以上前、僕が中学1年の時に考えた事業だ。直径2メートル50センチの球を転がして着順を競う。将来的に事業化すれば莫大な利益が出るのは間違いない」

--警察に被害を訴えている出資者もいる

「うちは自転車操業なんですよ。泥棒に入られたりするなどトラブルが重なったが、不動産を売却するなどして配当金の支払いは続けている。事業は継続しているのだから事件にはならない」

--新たに事業を始めたきっかけは

「いまだにKKCの債権を持っていて配当金を受け取っていない人たちがいる。彼らに配当金を支払わなければならず、そのための資金が必要だった」